mirai

2日目4

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 じゃあねと別れミライと時三は愛に背を向け歩く。
「お前誰に対しても同じ立ち回りなのかよ...」夕日に照らされる顔に時三は苦笑いを浮
かべる。
「あたし、おじいちゃん以外とは話したことないんだもん」ミライはポケットの写真を
見る。
「あぁそうかお前はお世話ロボットだもんな...。未来だとロボットの立場ってどんな感
じなの?」
「未来の話は聞きたくないんじゃなかったっけ?」
「少しくらいいいだろう...」
「基本的に扱いは家事をこなすペット扱いかなぁ」時三に流し目を送る。
「え! 未来の僕、ミライのことペット扱いしてんの?!」
「いやジーサンは違うよ。でも、世間はロボットはペット扱い。なのにジーサンはあた
しのことを一人の人間として扱ってくれているんだよ」
「なんか嫌な世間になってんだな。どうして世間はロボットをペット扱いなんだ?」
「誰かが最初にそういう扱いをしたからなんだと思う。初めてあたし達が世間に出回っ
た時、誰もどういう扱いしていいか分からなくて最初に買った人とその周りの人たちが
たまたま、ペットの様に扱ったらそれが普通という流れが出来てしまったんだと思う」
「そんな、理由なの...」
「そう言われているだけであって本当のことは分からないんだよ。だから未来ではこの
ロボットと人の関係についての問題は特に取り上げられるね。ニュースにもよくなるし」
「なんだよ、みんなお前みたいじゃないのかい?」
「あたしはジーサンに人間として扱われていたから今の人格を形成しているけど、他の
ロボットは多分従順で言われたことをやって、命令がない時はじっと待っている。そん
な感じだと思う。あたしも最初そうだったからね...」
「なんだか味気ないね」
「だから、こんな風にあたしを育ててくれたんだね」
「やるなぁ、未来の僕」
「ジーサンがやることなんだからね。今の聞いて未来が変わったら承知しないんだから」
ミライは笑いながらジーサンを小突く。
「じゃあ、今の話しは聞かなかったことにするよ」
「そうしてよ。あたしの恥ずかしい過去でもあるんだから」
「未来の出来事なのに過去か...。不思議なことになったもんだね...。その割には日常的
で全く変化なしなんだから」
「ジーサンが言ってたじゃん。過去を変えるとあたしがいなくなる可能性があるって」
「そういえばそうだったね。なんかミライ普通に馴染んでんだもん。愛とも普通に仲良
くなってるし」
 公園の前に着いた頃。ミライは公園に駆け出す。
「ジーサンに聞いておきたいことがあるんだった!」
 時三は、駆け出すミライを歩いて追いかける。
「なに?」
 初めて出会ったベンチに腰を下ろす。
「実はまた写真に変化があったの」ミライは写真を見せる。
「あれ、これ心霊写真みたいになってない...」
 ミライと半透明になった時三が写っていた。
「なんか死んじゃってるみたいであたし一人の時より不気味になってるんだよね...」
「そんなもん僕に見せないでよ。縁起悪い...。」
「変化した内容は、よく分からんから話さないけど。写真が変化した理由は愛にあると
思うの」
「愛に? まさか」
「でも、あたしは今日まで愛とジーサン...あと一人いたけどそんな関わっていないから、
二人としか関わっていないからどっちかに原因があるんだと思うけど...」
「原因って...別に何もやってないんだけど」
「なんだろう...これで何か起きるとか?」
「何かって何だよ」
「何かは何かな? とりあえず何かが起きないとまずいの...」
 しばらく沈黙が続くが新しい何かが出てくることはなかった。
「こっちから動くことは出来ないのかい?」
「うーん、ジーサンか愛に何か起きることは分かっているからね。二人のそばにいるっ
ていうのは?」
「結構危険じゃないのかそれ。学校まで一緒に行ったら他の奴とも関わることになるか
ら」
「じゃあ、帰ってきてから一緒にいる。愛もジーサンの家に泊めるとかは?」
「それも結構危険じゃないのか。それに愛が泊まりに来るわけないだろう...」
「何を言う! いつも一緒にいる二人が家で一緒にいて何が悪い!」
「いやいや、家に一緒にいるようになったら一線越えてるよ、それ...」
「一線を越えている? 一線とは...なにかな?」ミライは口元をニヤリと歪め鋭い眼つ
きでジーサンを見る。
「く! 一線というのはな...」時三は奥歯をかみ締める。
「一線ていうのは何かなぁ?」
「一線ていうのはこういうことだ!」
 ミライの視点が転がる。止まった時には上には時三が跨る様な姿勢でいる。ベンチの
裏側に落ちたのだった。
「...ジーサンをなめていたよ。まさかこんなことをやるとは...」
「あまり僕を怒らせないほうがいい」
「ジーサン、でも今の状況人に見られたら非常にまずい気がするんだけど」
「あぁ、冷静になってみるとやばいかもしれない...」
「早くあたしの首をベンチに座っている体に戻してくれないかな...」
「ごめん! 戻す! 今すぐ戻す! さぁ首よ! もといた所に収まれ!」時三はそー
っと首を体にはめる。
「すごい馬鹿にされてるように見えるんですけど...」
「さっきの仕返しだ」

「で、話を戻すけど、ジーサンに思い当たる問題は特にないんだよね」
「ない...と思う。でももしかしたら何か起きるかもしれないからね。僕も気をつけるよ」
「特に明日は気をつけてね」
「例の三日目だから?」
「うん...明日何かが起きる...はず」
「起きる...はず、ねぇ」
 時三は納得のいかない様子で頭を掻く。
「お前もう一人誰かに会ってんでしょ。誰にあったの?」
「それが名前を聞いてないから分からないんだよね」
「なんだよ...名前くらい聞けばいいのに」
「それで、なにか変わっちゃったらどうするのよ」
「まぁそれもそうか。ってお前学校に侵入している奴が何言ってんの...」
「あの時は調べごとがあって侵入したんだもん」
「調べごとって愛のこと?」
「そうだよ...。ジーサンもうすうす気付いていると思うけどミライでジーサンと愛がト
ラブル起こすの。内容は言わないけど」
「愛と僕が喧嘩するのか、どんな喧嘩しているんだろう。気になるね」
「いや、聞かないほうがいいよ」
「それまで楽しみに取っとくよ」
 時三は期待するように笑うがミライは、時三が窓から落とされることはスクラップ工
場まで持って行くと決めた。
「明日はジーサンも愛に気をつけてよ」
「愛に気をつけるって...あいつ何か問題起こすようには見えないけどなぁ」
「愛が巻き込まれるってこともあるからね...」
「何にも分かってないってのがなぁ」時三は椅子に寄りかかり天井を見る。
「とりあえず! ジーサンは愛をマークしてて。何か問題が起きたらあたしに電話して。
そしたらあたしも駆けつけるから」
「はいよ。何かあったら携帯から家に電話する。ミライは家で待機していてね」
「オッケー」
「はい、じゃあ作戦会議終了」時三は伸びをする。
「晩御飯は何がいい?」
「何でもいいよ」
「それが一番困るんですけど」
「がんばれメイドロボット!」
「もう! じゃあデパートに買い物行ってくるから洗濯物取り込んどいてよね」
「はいよ」
 沈みかけた夕日に照らされながら時三は家路に、ミライは買い物に向かった。
 じゃあねと別れミライと時三は愛に背を向け歩く。
「お前誰に対しても同じ立ち回りなのかよ...」夕日に照らされる顔に時三は苦笑いを浮
かべる。
「あたし、おじいちゃん以外とは話したことないんだもん」ミライはポケットの写真を
見る。
「あぁそうかお前はお世話ロボットだもんな...。未来だとロボットの立場ってどんな感
じなの?」
「未来の話は聞きたくないんじゃなかったっけ?」
「少しくらいいいだろう...」
「基本的に扱いは家事をこなすペット扱いかなぁ」時三に流し目を送る。
「え! 未来の僕、ミライのことペット扱いしてんの?!」
「いやジーサンは違うよ。でも、世間はロボットはペット扱い。なのにジーサンはあた
しのことを一人の人間として扱ってくれているんだよ」
「なんか嫌な世間になってんだな。どうして世間はロボットをペット扱いなんだ?」
「誰かが最初にそういう扱いをしたからなんだと思う。初めてあたし達が世間に出回っ
た時、誰もどういう扱いしていいか分からなくて最初に買った人とその周りの人たちが
たまたま、ペットの様に扱ったらそれが普通という流れが出来てしまったんだと思う」
「そんな、理由なの...」
「そう言われているだけであって本当のことは分からないんだよ。だから未来ではこの
ロボットと人の関係についての問題は特に取り上げられるね。ニュースにもよくなるし」
「なんだよ、みんなお前みたいじゃないのかい?」
「あたしはジーサンに人間として扱われていたから今の人格を形成しているけど、他の
ロボットは多分従順で言われたことをやって、命令がない時はじっと待っている。そん
な感じだと思う。あたしも最初そうだったからね...」
「なんだか味気ないね」
「だから、こんな風にあたしを育ててくれたんだね」
「やるなぁ、未来の僕」
「ジーサンがやることなんだからね。今の聞いて未来が変わったら承知しないんだから」
ミライは笑いながらジーサンを小突く。
「じゃあ、今の話しは聞かなかったことにするよ」
「そうしてよ。あたしの恥ずかしい過去でもあるんだから」
「未来の出来事なのに過去か...。不思議なことになったもんだね...。その割には日常的
で全く変化なしなんだから」
「ジーサンが言ってたじゃん。過去を変えるとあたしがいなくなる可能性があるって」
「そういえばそうだったね。なんかミライ普通に馴染んでんだもん。愛とも普通に仲良
くなってるし」
 公園の前に着いた頃。ミライは公園に駆け出す。
「ジーサンに聞いておきたいことがあるんだった!」
 時三は、駆け出すミライを歩いて追いかける。
「なに?」
 初めて出会ったベンチに腰を下ろす。
「実はまた写真に変化があったの」ミライは写真を見せる。
「あれ、これ心霊写真みたいになってない...」
 ミライと半透明になった時三が写っていた。
「なんか死んじゃってるみたいであたし一人の時より不気味になってるんだよね...」
「そんなもん僕に見せないでよ。縁起悪い...。」
「変化した内容は、よく分からんから話さないけど。写真が変化した理由は愛にあると
思うの」
「愛に? まさか」
「でも、あたしは今日まで愛とジーサン...あと一人いたけどそんな関わっていないから、
二人としか関わっていないからどっちかに原因があるんだと思うけど...」
「原因って...別に何もやってないんだけど」
「なんだろう...これで何か起きるとか?」
「何かって何だよ」
「何かは何かな? とりあえず何かが起きないとまずいの...」
 しばらく沈黙が続くが新しい何かが出てくることはなかった。
「こっちから動くことは出来ないのかい?」
「うーん、ジーサンか愛に何か起きることは分かっているからね。二人のそばにいるっ
ていうのは?」
「結構危険じゃないのかそれ。学校まで一緒に行ったら他の奴とも関わることになるか
ら」
「じゃあ、帰ってきてから一緒にいる。愛もジーサンの家に泊めるとかは?」
「それも結構危険じゃないのか。それに愛が泊まりに来るわけないだろう...」
「何を言う! いつも一緒にいる二人が家で一緒にいて何が悪い!」
「いやいや、家に一緒にいるようになったら一線越えてるよ、それ...」
「一線を越えている? 一線とは...なにかな?」ミライは口元をニヤリと歪め鋭い眼つ
きでジーサンを見る。
「く! 一線というのはな...」時三は奥歯をかみ締める。
「一線ていうのは何かなぁ?」
「一線ていうのはこういうことだ!」
 ミライの視点が転がる。止まった時には上には時三が跨る様な姿勢でいる。ベンチの
裏側に落ちたのだった。
「...ジーサンをなめていたよ。まさかこんなことをやるとは...」
「あまり僕を怒らせないほうがいい」
「ジーサン、でも今の状況人に見られたら非常にまずい気がするんだけど」
「あぁ、冷静になってみるとやばいかもしれない...」
「早くあたしの首をベンチに座っている体に戻してくれないかな...」
「ごめん! 戻す! 今すぐ戻す! さぁ首よ! もといた所に収まれ!」時三はそー
っと首を体にはめる。
「すごい馬鹿にされてるように見えるんですけど...」
「さっきの仕返しだ」

「で、話を戻すけど、ジーサンに思い当たる問題は特にないんだよね」
「ない...と思う。でももしかしたら何か起きるかもしれないからね。僕も気をつけるよ」
「特に明日は気をつけてね」
「例の三日目だから?」
「うん...明日何かが起きる...はず」
「起きる...はず、ねぇ」
 時三は納得のいかない様子で頭を掻く。
「お前もう一人誰かに会ってんでしょ。誰にあったの?」
「それが名前を聞いてないから分からないんだよね」
「なんだよ...名前くらい聞けばいいのに」
「それで、なにか変わっちゃったらどうするのよ」
「まぁそれもそうか。ってお前学校に侵入している奴が何言ってんの...」
「あの時は調べごとがあって侵入したんだもん」
「調べごとって愛のこと?」
「そうだよ...。ジーサンもうすうす気付いていると思うけどミライでジーサンと愛がト
ラブル起こすの。内容は言わないけど」
「愛と僕が喧嘩するのか、どんな喧嘩しているんだろう。気になるね」
「いや、聞かないほうがいいよ」
「それまで楽しみに取っとくよ」
 時三は期待するように笑うがミライは、時三が窓から落とされることはスクラップ工
場まで持って行くと決めた。
「明日はジーサンも愛に気をつけてよ」
「愛に気をつけるって...あいつ何か問題起こすようには見えないけどなぁ」
「愛が巻き込まれるってこともあるからね...」
「何にも分かってないってのがなぁ」時三は椅子に寄りかかり天井を見る。
「とりあえず! ジーサンは愛をマークしてて。何か問題が起きたらあたしに電話して。
そしたらあたしも駆けつけるから」
「はいよ。何かあったら携帯から家に電話する。ミライは家で待機していてね」
「オッケー」
「はい、じゃあ作戦会議終了」時三は伸びをする。
「晩御飯は何がいい?」
「何でもいいよ」
「それが一番困るんですけど」
「がんばれメイドロボット!」
「もう! じゃあデパートに買い物行ってくるから洗濯物取り込んどいてよね」
「はいよ」
 沈みかけた夕日に照らされながら時三は家路に、ミライは買い物に向かった。
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